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いる社員、捨てられる社員
201*/10/01
文責:永井晶也

「いる社員、捨てられる社員」プレジデント社が発行する雑誌「プレジデント」の2009年3月16日号は、こうしたセンセーショナルな見出しが表紙を飾っています。

世界経済が混迷する中、企業もそこに属する社員も、あらゆる面から選別の洗礼を受け、無情にも、必要とされるものと、そうでないものの線引きがされる時代となりそうです。

組織運営において重要なことは、組織の相乗効果をいかに高めるかということに尽きます。個々人の力を効果的に組み合わせることで、組織力を最大化することです。もちろん、組織を運営するリーダーのリーダーシップが重要なわけですが、その反面、リードされるスタッフ側の問題も同時に存在します。組織が思ったような成果が出せないでいるときは、そのいずれか、あるいは双方に問題があるわけですから、患部に適切な処置をしなければ、到底この激戦を勝ち進むことは難しいといわざるを得ません。

リーダーシップの問題は、今回の本題ではないので、別に譲るといたしまして、組織においてリードを受けるスタッフ側の問題に着目してみたいと思います。私はかねがね、今後は中小零細企業でも、作業者しかいない会社はやっていけないと考えています。ここでいう作業者とは、言われたことを言われた通りにしかできない、文字通り作業者です。コンビニエンスストアのレジカウンターで、マニュアル通りの
「ありがとうございます」を連呼するスタッフ、あの「ありがとうございます」に心がこもっているのなら、それは作業ではなく、仕事といえるでしょう。しかし、マニュアルにそう書いてあるからそうしている、というのであれば、それは作業でしかありません。そうした作業者ばかりの組織の競争力は、唯一コストのみです。コストのみの競争は、もはや日本では成り立たないのです。

いま、多くの仕事がルールやマニュアルによって作業化しています。ルールやマニュアルの本来の意味は、作業者を作ることではありません。組織における共通のコミュニケーションを形成するためのものです。そのところの理解が無いままに、形式だけが一人歩きをし、ルールやマニュアルの弊害が横行しているように思えてなりません。話を元に戻しますが、組織はこういう作業者を作らないことを心がけなければいけません。これからの組織において、こうした作業者は紛れも無く「捨てられる社員」になってしまいます。マニュアル化やルール化が、こうした作業者を作り出すとは限りません。マニュアルの無い組織、ルールの少ない組織においてさえ、リードの仕方を間違えれば、作業者はどんどん増加します。

ではどうすればよいか。とにかく悩み、考え、工夫せざるを得ない状況を作り出すことです。安易に答えを教えない、過剰な介入はしない、責任は徹底的に追求する。こうした姿勢によって、より悩み、より考え、より工夫する習慣を付けさせることです。こうした習慣をなるべく早い時期に植え付けることで、その後の仕事の仕方は大きく変わるはずです。仕事ができないという人ほど、悩まない、考えない、工夫しないという三拍子が揃っているものです。

もちろん、採用した以上、雇用を継続する責任があります。安易に辞めてもらうというのも随分無責任な話になってしまいます。しかし、こうした社員であふれかえるような組織では、組織としての継続が覚束ないでしょう。よって組織としても、何よりこうした素養を持った人間を積極的に採用すること、そして悩まない、考えない、工夫しない人は、居難い組織風土を作ることが重要です。そういう人にすら居心地の良い組織というものは、単なるぬるま湯組織であることを自覚すべきでしょう。



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