会計事務所向け生産性向上ツール

コラム

COLUMN

新春セミナーで教えていただいた組織作りの本質

2015年3月3日

2015年に入って初めてのセミナーを1月に全国3箇所で開催させていただきました。

普段、私達が大変お世話になっているMyKomon会員様に講師をお願いするという初の企画でした。

ここ数年の風潮として、私達の業界は、巧みな文書表現で見込先を開拓するようなテクニックが流行り、次から次へと新手の顧問先紹介事業や、単なる価格破壊を導くような事業者が登場し、それらに振り回されてきたような気がします。(勿論、安価でも高品質なサービスを自前で開発・提供されている会計事務所様もおられ、その企業努力は素晴らしいと思いますし、価格戦略そのものを否定するわけではございませんが。)

ただ、単なる借り物のテクニックでは本質的な課題解決にはならず、安易に安売りで顧問先を獲得すれば件数を追わざるを得ず、疲弊やサービスの低下を招き、思い入れの無い顧問先を紹介会社から与えられても、スタッフのモチベーションは高まらず、顧問先もスタッフも離れていくという逆効果さえ生んでしまう事態があちこちで起きてきたように思います。

そんな中で、地に足の着いた事務所運営および体制作りで、確実に発展・成長を続けておられる会計事務所の先生に講師としてご登壇いただき、取り組み実例を赤裸々にお話いただくことで、参加された他の会員事務所様に今年の戦略・戦術を考える機会にしていただきたいと考えました。


私は東京会場の講師選定を含めたセミナー企画と当日の運営に携わりました。

東京は講師候補が多くて悩みましたが、ゼロから開業スタートして、比較的短期間でスタッフ30名規模の会計事務所を創り上げた先生に講師をお願いすることに決めました。この規模の事務所は、この業界では希少で、成長の過程では、必ずいくつもの障壁が目の前に現れているはずで、しかも短期間での急成長となると、その分思い切った自己革新に迫られて、それら障壁を乗り越えて来られたに違いなく、きっと聞く人に感銘を与えるだろうと思ったからです。多忙な時期にも関わらず、企画趣旨を話すと二つ返事でお二人の講師から快諾を得られました。大変有難いことです。

当日は、約60名の会計事務所様がご参加され、顧問先の開拓、スタッフの採用、組織創り、差別化といった各テーマで、2事務所の事例をお聞きいただきました。いずれの講師のお話も素晴らしく、参考になる話題が満載でしたが、特に印象に残った第1部の講師のお話を1つだけご紹介します。

それは、毎月1時間は全員と面談を行い、各スタッフの願望を聞き、そのために経営者として自分がどんな支援ができるかを考え、具体策を提示しているという話です。願望を聞くと「今、英会話に関心があり、もっと勉強したい。」と言うスタッフがいたそうで、それを聞いた先生は、「君の長い人生に比べれば、僅かな期間なのだから、今やりたい英会話を例えば2年間と決めて一生懸命取り組んでください。」と伝え、英会話学校に通う日は残業させないことにしたそうです。そのスタッフは、それまで組織に対してあまり協力的でないタイプだったそうですが、その日以来、明らかに仕事への姿勢が変わり、英会話学校に行かない日は進んで残業も行い、自分や仲間のミッションのために頑張ってくれるようになったとのことでした。人にはそれぞれの価値観があり、共に職場を共有している仲間の価値観を認めて共有することで、スタッフのモチベーションを高め、組織を強くし、その結果が顧問先対応の質を高め、紹介による拡大にも繋がっているのだと感じました。「企業は人なり」という名言がありますが、本質的に大切なことは、きっと昔も今も変わらず、流行のテクニックに翻弄されずに、しっかりと地に足をつけて前進する必要があるのだと、教えていただきました。


全国各地で講師をお勤めいただいた先生方に心から御礼申し上げるとともに、MyKomon会員様の今後の益々のご活躍をお祈り申し上げます。

この記事の監修

若山茂樹

若山茂樹

株式会社名南経営ソリューションズ取締役
カスタマーサクセスグループ・ゼネラルマネージャー

1992年に新卒で名南経営に入社し、会計事務所の担当者を経験しました。
20代前半の新人でも、お客様はお金の事や制度手続きの事などで意見を求めてきますので、会計事務所の役割の重さを感じると伴に、学びと経験の大切さを痛感しました。
会計事務所の活躍が日本の中小企業に成長と発展をもたらします。
会計事務所の活躍を支援したい。それが我々のミッションです。