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コラム

COLUMN

AIは税理士の脅威か?人間にしかできない相談対応とは?

2023年7月27日

1.AIの脅威に対して準備していることは?

最近、会計事務所を回る中で、税理士先生にこんな質問を投げ掛けています。
「ChatGPTなどのAIが今後ますます能力を高めていくとして、これを脅威と捉える声も出てきていますが、貴事務所ではどんな対策・準備を進めていますか?」

様々なお考えを聞くことができました。
いくつかご紹介いたします。

・九州北部の某税理士法人(スタッフ約20名)の創業者
 「事前相談をもらえる存在であり続けないと、仕事が無くなるよ、とスタッフに言い続けて意識づけをしている。高いものを買う前、大きな投資をする前、大きな意思決定をする前に事前相談がある関係なら、大丈夫。」

・東北の某税理士法人(スタッフ100名超)の創業者
 「まず、上位10%の顧問先のことを1~10まで把握するよう指示した。そのうえで、あらゆる相談に対応する。」

・九州南部の某税理士法人(スタッフ約70名)の創業者
 「SE4名を採用して新事業をスタートする。中小企業も最近はいろんなITツールを導入しているが、データ連携ができておらず無駄が発生してたりするのが実情。つまりITやAIがあっても、想定通りにいかない部分が必ずあり、そこに商機がある。」

・中国地区の某会計事務所の所長
 「AIが出して来た沢山の回答の中から、顧問先にとって検討価値のある回答だけを絞り込んであげる作業は残るはずなので、まず顧問先のことを今後一層関心を持って把握することが大事。」

やはり、「相談対応」という分野で人間にしかできない価値を見出そうというお考えが主流のようです。

2.人間にしかできない「相談対応」とは?

某大手会計事務所A社を辞めて独立開業した税理士先生から、こんな話を聞きました。
A社では顧問先からの相談に対して「法令や通達によると、〇〇〇〇〇です。」「判例や審査事例を踏まえると〇〇〇〇〇となります。」といった具合に事実データに基づいて回答するのが「掟」であり、回答に自分の私見を入れてはいけないそうです。
この方針が合わずに、この税理士先生はA社を辞めたのだとか。
このA社のような回答方針であるなら、遅かれ早かれAIに簡単に取って代わられるのではないかと思います。

しかし、顧問先に関心を持ち、顧問先の諸事情やご相談の背景を知っていますと、おのずと私見が入り、「本来は〇〇〇〇〇なのでしょうけれど、御社の現状を踏まえると、今は△△△△△ではないでしょうか?」とか、「一般的には〇〇〇〇〇するのがセオリーでしょうが、もし私が社長なら△△△△△すると思います。」などと回答することになり、こうした私見も入った回答が顧問先にとって嬉しい価値のある回答となるように思います。
おそらくAIは学習が進んでも「私見」は持ちません。
人間にしかできない「相談対応」の価値はこの辺りにあるのではないか?と税理士先生方との会話を通じて整理ができた次第です。

3.税理士は顧問先の実情を深く聞ける立場にある

税理士資格は大型の国家資格であり、守秘義務があり、信用力の高い資格だと思います。
また、顧問関係の中で、顧問先が持っている経営資源も、行っている取引も、みんな知れる立場にあります。
顧問先もそれをわかっており、隠すものが無いので、安心して本音の相談ができます。
顧問先の事情、背景をより深く知れる立場にあるのです。さすがにAIにはこのポジションは得られません。
顧問先に関心を持ち、実情を知り、信頼され、困ったときに顔の浮かぶ存在であり続けられれば、AIがいかに能力を高めても、会計事務所の未来は安泰だと思えてなりませんが、楽観的すぎでしょうか?

この記事の監修

若山茂樹

若山茂樹

株式会社名南経営ソリューションズ取締役
カスタマーサクセスグループ・ゼネラルマネージャー

1992年に新卒で名南経営に入社し、会計事務所の担当者を経験しました。
20代前半の新人でも、お客様はお金の事や制度手続きの事などで意見を求めてきますので、会計事務所の役割の重さを感じると伴に、学びと経験の大切さを痛感しました。
会計事務所の活躍が日本の中小企業に成長と発展をもたらします。
会計事務所の活躍を支援したい。それが我々のミッションです。