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コラム

COLUMN

税理士業務実態調査/何を聞かれる?

2022年1月18日

まずは看板の指摘から

「税理士業務実態調査」を受けたという税理士先生にお会いしました。

調査内容をお聞かせいただきました。

始終穏やかな雰囲気の2時間半だったそうですが、まず最初に看板のことで指摘を受けたとのことでした。「OO会計事務所」と表記された看板を出していたところ、「本当は『OO△△税理士事務所』が正しい表記(OOは性、△は名)なので、今度機会があれば修正してくださいね。」と言われたそうです。自由度が低く厳しいですね。

PCの台数と職員数

次に、PCが何台あるのかをチェックしながら、職員を何人雇っているのかを聞かれたそうです。

PCの台数よりも答えた職員数が明らかに多い場合などは、2か所事務所の存在が疑われたりするのかな?とのことでした。

次に、会計法人の有無を聞かれ、所在地を聞かれ、税理士事務所と会計法人と顧問先が結んでいる契約形態(3者契約か、外注か)を聞かれ、顧問契約書を見せてくれと言われ、お見せしたそうです。

会計法人の所在地が税理士事務所と同一なので、問題視されなかったが、別の場所にあるとなると、業務内容によっては2か所事務所の疑いがかかるのかもね、とお話しいただきました。

契約書を確認したのは、業務の切り分け(税務は税理士事務所、会計は会計法人)を明確にしているかどうかの確認なんだろうとのお話でした。

その他質問事項

このほか、

・会計ソフトは何を使っているのか?

・業務処理簿はあるか?(※後述)

・研修(義務化されている36時間研修)には取り組んでいるか?

・国税庁のHPは見ているか?(見るよう促された)

・情報漏洩防止を目的とした契約を職員と交わしているか?
 (誓約書を差し出してもらっていると答えたら、見せてくださいと言われてお見せしたそうです)

・顧問先数(法人、個人)と業務内容別の顧問件数
 (毎月面談で記帳代行から税務申告まで関わっている先がOO件で・・・・といった具合)

・外回りは誰が行きますか?
 (税理士である自分だけだと答えたので、スルーされたが、税理士でない職員が外回りしていると、顧問先との対応内容や管理体制などを聞かれたのかな、と話されていました。)

・税理士証票を提示してください
 (提示したら、更新されていないとの指摘があり、10年ごとに更新するよう言われたそうです)

・マイナンバーの保管をどうやっているか?

・顧問先の帳簿書類を何年保管しているか?

・顧問先に資料を返すのはいつ?

・就業規則は作ってあるか?

・スタッフ向けの業務マニュアルとか手順書はあるか?

・電子申告割合はどのくらい?

・郵送の場合、署名欄は自署ですか?印字ですか?(ルール上は自署ですよ!と確認が入ったそう)

・書面添付はやっているか?(あまりやれていないが、他事務所はどうなのか?を聞いたそう)

などのやりとりがあったそうです。

調査があるのは20年に1回?日々の業務で備えましょう

また、綱紀関係の研修にはできるだけ参加するように勧められたそうです。

研修の中で、「名義貸し」は借りた側の責任は問えず、貸した側(税理士)が責任を取らねばならないので、くれぐれもやらないように、といった注意喚起がされているそうです。

また、今年の懲戒処分の数や内容についても話があったそうです。

いつか来る「税理士業務実態調査」ですが、コロナ前は、毎年6月~12月で支部の5%の税理士事務所を回っていたと調査官が話されたそうです。つまり、20年に1回ぐらいの頻度ですね(支部によっても違うのかもしれませんが)。

※実態調査が入ると聞き、慌てて「業務処理簿」を作成されたそうですが、数秒ペラペラとめくって「ちゃんと作られてますね」と言われただけだったそうです。時間をかけて作成したのに・・・と少々残念そうでしたが、「いや、業務処理簿は調査のためではなく、義務なので、普段から作成しておかなきゃいけないんだよな。」と気持ちを切り替えておられたのが格好よく、印象的でした。

貴重なご経験を詳しくお話しいただき、大変参考になりました。
ありがとうございました。

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この記事の監修

若山茂樹

若山茂樹

株式会社名南経営ソリューションズ取締役
カスタマーサクセスグループ・ゼネラルマネージャー

1992年に新卒で名南経営に入社し、会計事務所の担当者を経験しました。
20代前半の新人でも、お客様はお金の事や制度手続きの事などで意見を求めてきますので、会計事務所の役割の重さを感じると伴に、学びと経験の大切さを痛感しました。
会計事務所の活躍が日本の中小企業に成長と発展をもたらします。
会計事務所の活躍を支援したい。それが我々のミッションです。