クラウド会計ソフトの利用を考えるうえでの視点
2018年1月15日
地方の会計事務所を訪問していて、ときどき話題に上がるのは、「うちはまだ、M社やF社などのクラウド会計ソフトを使っていないのだけど、使ったほうがよいのかな?」というお話です。
慣れない会計ソフトを導入することでの現場からの抵抗を懸念し、抵抗を押し切って導入するほど、生産性が上がるのか?が判断できていないということのようです。
そんな場合、私は次のような話をさせてもらっています。
・実務現場での操作性や生産性の向上はもちろん大事な視点です。
・しかし、その視点だけですと、判断を誤るかもしれません。
・いくつかの地方銀行が融資対象企業に対してクラウド会計ソフトの利用を勧めています。
・融資審査のコストを減らす意図なのだと思います。
・マイナス金利政策の下で、融資審査コストを減らさないと、採算が取れないのだと思います。少額の融資案件であれば、なおさらです。
・だから、地銀は融資対象企業にクラウド会計ソフトを利用させて、融資対象企業の取引活動を丸見えにすることで融資審査に掛ける時間つまりコストを減らそうということだと理解しています。
・例えば、事業意欲はあっても実績の乏しいベンチャー企業であれば、「資金調達がスムーズに進むなら自社の取引関係が丸見えになっても構わない」という判断もありえます。
・そうした企業から、クラウド会計ソフトの利用を前提に支援を求められた時に、 「対応できます。任せておいて!」と返答できるようにするかしないか?という視点も持って、早めに研究しておく必要はありませんか?
機能や操作的な面は、API連携も含めて、各社とも急速に進化するように思います。
会計事務所としては、金融機関のおかれた現状なども踏まえて、判断していく必要がありそうです。
今更ながらの話ではありますが。
この記事の監修
若山茂樹
株式会社名南経営ソリューションズ取締役
カスタマーサクセスグループ・ゼネラルマネージャー