「自計化」の定義を変えた事務所
2013年9月29日
通常、「自計化」というと、「顧問先企業が自社で会計ソフトに仕訳入力を行っている状態にすること。」
であり、会計事務所業界で特有の用語だと認識しています。
そして、顧問先から「記帳代行」の委託を受けている会計事務所が、顧問先に「自計化」をお勧めする
ケースが多いと思います。
会計事務所が「自計化」を顧問先に勧める理由としては、一般的に次のような言葉が使われているようです。
「毎日こまめに仕訳入力することで、自社の経営状況をタイムリーに把握できるようになりますよ。」
「仕訳入力を自社でやってくれるなら、その分付加価値の高いご指導ができますよ。」
「仕訳入力を自社でやってくれるなら、その分顧問料をお安くできますよ。」
そんな中、次のような話をしてくれた税理士がいます。
「うちの事務所は自計化の定義を変えました。
つまり、会計ソフトに仕訳入力をしてもらうことが自計化ではなく、自社の売上明細を
毎日データ化してチェックしてもらうことを自計化と定義することにしました。」
この視点に衝撃を受けました。
会計事務所側の都合ではなく、顧問先の業績アップを本気で支援したいという強い意思を感じました。
商品別、得意先別、営業マン別、店舗別・・・いろんな角度で、自社の売上明細をチェックできる状態に
支援することのほうが、
会計ソフトに仕訳入力されている状態に支援するよりも顧問先にとって価値があるという判断です。
実際には、顧問先ごとに管理して追っていくべき指標は異なるので、自計化の定義も顧問先ごとに
異なるとのことでした。
東北で税理士法人を営む若き税理士で、私も尊敬する1人です。
事務所のスタッフからも活気が満ち、業績も伸びている様子がうかがえました。
本気さの中に生まれる差別化の視点。とても参考になります。
この記事の監修
若山茂樹
株式会社名南経営ソリューションズ取締役
カスタマーサクセスグループ・ゼネラルマネージャー