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コラム

COLUMN

遺産総額の小さい案件に対する料金設定の仕方

2015年4月19日

先日、こんな内容のセミナーを会計事務所様向けに東京で開催しました。

相続税増税でマーケットに不安感が漂っている中で、
・会計事務所はどのように顧問先の不安感を上手に取り除き、生前対策ニーズを具現化するか?
・また、今回の相続増税を機に、新規顧問先をどう発掘するか?
について、私の考えを伝えさせていただきました。


さて今回、セミナーの準備をするに当たり、幾つかの相続税特化事務所の活動をホームページ(HP)から研究させていただきました。

相続税の申告件数を大きく打ち出すことで実績をPRし、料金体系をHP上で明記しているのは共通点ですが、
一方で、それぞれに特徴があり、ターゲット対象が微妙に違うことに気付きました。


遺産総額が小粒な案件もターゲットとした、リーズナブルな料金体系を持ち、申告件数を増やそうという意図が読み取れる事務所もあれば、主に遺産総額数億円以上を対象に生前対策から関わって申告案件の見込発掘につなげようという意図が見られる事務所もあるようです。


一番感心したのは某税理士法人が、ある条件付きで申告報酬を30%OFFにするという料金体系を持っていることでした。

・相続人同士での争いが無く、遺産分割協議が終了していること
・遺産総額が2億円以下であること
・申告期限まで6ヶ月以上の猶予があること
・土地が2つまで
こんな条件だったと思います。


少し前になりますが、日経新聞で、”遺産分割をめぐる訴訟の8割は遺産総額5千万円以下の小規模先である”といった趣旨の記事がありました。

安価な報酬にできる=効率がいい(原価を抑えられる)
という算式が成り立つ必要があるわけで、いくら遺産総額が小さくても、相続人同士で争い事があったら決して効率よく事は運びません。
そんな中、上記のような条件付で安価さを提示しておられるのは、しっかりと情報にアンテナを張っておられる結果であり、素晴らしいと思いましたし、相続税改正をビジネスチャンスと捉えている会計事務所様にとっては非常に参考になるモデルだと感じました。

この記事の監修

若山茂樹

若山茂樹

株式会社名南経営ソリューションズ取締役
カスタマーサクセスグループ・ゼネラルマネージャー

1992年に新卒で名南経営に入社し、会計事務所の担当者を経験しました。
20代前半の新人でも、お客様はお金の事や制度手続きの事などで意見を求めてきますので、会計事務所の役割の重さを感じると伴に、学びと経験の大切さを痛感しました。
会計事務所の活躍が日本の中小企業に成長と発展をもたらします。
会計事務所の活躍を支援したい。それが我々のミッションです。