斬新!「全員担当制」でうまく回っている税理士事務所
2016年3月27日
先日、「全員担当制」を採って、うまくいっている税理士事務所のマネージャーにお会いしました。
所長(若手男性税理士)と、このマネージャー(女性)および、スタッフ3名の体制の事務所です。
「全員担当制」の概要はこんな感じです。
①全員がお互いのスケジュールと、顧問先ごとの資料回収マニュアルを共有していて、誰でも近くにいるスタッフが顧問先に立ち寄って、資料回収して来れるようになっている。
(所長が近くにいれば、所長に資料回収を依頼することもあるとか)
②回収された資料は、マネージャーの指揮のもと、所内にいるスタッフが全員で処理をする。
「さあ、今からA社さんの月次処理をやりますよー。田中さんはX銀行の預金の処理をお願いします。鈴木さんはY銀行の預金とカード明細の処理をしてください。佐藤さんは領収書(現金経費)の処理を私と分担してやりましょう。」といった具合なんだそうで、スタッフ全員が同じ時間を共有し、互いに声を掛け合って処理をすると、精度も高く、集中できるので短時間で片付くのだそうです。特に納期に厳しい顧問先の処理には最適だとか。
③全員で入力した後、データは1つに合算し、結果を全員で共有して、次回訪問したときに顧問先に伝えるべきことを互いに意見出ししてまとめる。前年データや報告書(過去の対応記録)なども見ながら。
だから、誰が月次訪問をしても、同じ品質のご報告や情報提供ができる。
上記体制にしたことで、スタッフ間でのコミュニケーションも進んで、関係がよくなった様子。
とても斬新な体制だと感じました。
必要なのは
・スケジュールのクラウド共有
・顧問先単位の資料回収マニュアルのクラウド共有
・仕切り役(マネージャー)
・複数で入力して、後から合算処理できる会計ソフト
・コミュニケーション
といったところでしょうか。
素晴らしいなと思ったのは、スタッフの皆さんが、各自で掲げたテーマについて勉強を行い、発表し合ったり、顧問先に持っていけるようにレポート化したりして、所内共有されていること。テーマは税務や会計に囚われず、「組織の活性化」「WEBマーケ」「マイナンバー」など、経営者にとって、今、関心がありそうなテーマを選んでいるそうです。月次処理の品質だけでは、顧問先の満足は十分に得られないと考えており、付加価値を出すためにそのような取り組みも行っているとのことでした。
驚いたのは、スタッフの皆さん(全員)が、会計事務所業界の経験が無いこと。
「今、一番の課題は、実務経験のある優秀なスタッフが採れないことだ!」と嘆く先生方が多い中で、実務経験のない人でも回っていく仕組みを持った事務所は強い!そう感じました。
この記事の監修
若山茂樹
株式会社名南経営ソリューションズ取締役
カスタマーサクセスグループ・ゼネラルマネージャー