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コラム

COLUMN

SLAで顧問関係を再構築

2019年10月11日

前回に続き、サービス・レベル・アグリーメント(SLA)の視点で、顧問関係の再構築を進めている税理士事務所のお話です。


この税理士先生が進めているSLAによる顧問関係再構築とは、
各顧問先が望むサービスレベルを把握し、そのレベルに合わせたサービスを提供するために顧問先にも必要な協力を打診し、場合によっては顧問料も見直し、同意したことを文書化して、同意事項を実践していくという取り組みです。


税理士事務所が提供するサービスというと、たとえば、月次試算表の提供というサービスがありますが、A社の社長は「翌月初3営業日までに正確な月次試算表が欲しい。」と言うが、B社の社長は「そんなに急いでないので、次回来るときに持ってきてくれればOK。」と言う。
全く期待されるサービスレベルが違う訳です。だから、同じ試算表の提供業務でも、業務の仕方の難易度や業務する人のレベル(時間単価)や人数が変わります。
A社の社長のニーズを満たすには、例えば、この機会にネットバンキングをA社に契約してもらって閲覧用のIDを提供してもらい、現金出納帳をエクセルで作って残高合わせまでA社側で完了させて翌月初に提供してくれたら、顧問料はそのままで対応可能かもしれない。それが無理なら、毎月初に処理スピードの速いベテラン内勤スタッフを2人貼り付けることで対応することになるので、顧問料を増額いただく必要が出てくる。
でも、A社の社長が望んでいるサービスレベルに合わせるための選択肢の提示なので、交渉は受け入れられやすく、むしろ、税理士への期待が大きい顧問先ほど、こうした摺り合わせを望んでいることがよく分かったとのことでした。

会計事務所が提供するサービスは他に、
・訪問面談して顧問先の相談に乗り、アドバイスや情報提供をするサービス
・決算を組んで税務申告をするサービス
などがありますが、それぞれのサービスについて、各顧問先が期待するレベルはどうなんでしょうか?
そのサービスレベルに合わせるために、どんな選択肢が提供できるでしょうか?
幾つもの選択肢を提示するためには、鮮度のよい情報の仕入も必要だし、ITツールやそれを扱えるスキルなども必要になりますが、全顧問先の期待するサービスレベルがハッキリすることで、足らないものがわかり、何をすべきかが明確になり、計画を具体化しやすくなります。

SLAの視点で顧問関係の再構築は、顧客満足度を高めながら生産性も高められる活動だと感じました。

この記事の監修

若山茂樹

若山茂樹

株式会社名南経営ソリューションズ取締役
カスタマーサクセスグループ・ゼネラルマネージャー

1992年に新卒で名南経営に入社し、会計事務所の担当者を経験しました。
20代前半の新人でも、お客様はお金の事や制度手続きの事などで意見を求めてきますので、会計事務所の役割の重さを感じると伴に、学びと経験の大切さを痛感しました。
会計事務所の活躍が日本の中小企業に成長と発展をもたらします。
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