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コラム

COLUMN

担当振りに困っている会計事務所

2023年3月30日

1.客観的データで納得感のある担当割り振りがしたい

ある税理士法人の所長先生からご相談を受けました。

都内でスタッフ24名、創業13年目の事務所。
「お陰で顧問先は増えるんだけど、担当振りにいつも困るんですよ。」
聞けば、Excelで顧客情報(業種、規模、決算月、顧問料など)と担当者を管理しており、担当者ごとの工数管理などもExcelで作り込んでいる様子。

それでも、結局のところは、「○○さんならスキル的に対応できそう。」と、先生の肌感覚で担当を決めており、そのため、業務量、残業時間もかなり人によって偏りがある状態になっている。客観性のあるデータで誰もが職員の納得できる担当振りができるようにできないか。

2.データがあるのに肌感覚で担当振りしてしまう原因は?

作り込んでいるExcelにデータはあるものの、結局、肌感覚で判断することになっているのは、データがそのままでは判断に使えず、あれこれ加工しないといけなくて大変だとのことでした。

いわゆる「データはあるが、使えない」という問題です。
この問題は、人為的な判断や操作を避けてデータの精度を高めることと、最終的に抽出したいアウトプットを決めて必要なデータを連携させることで解決できると考えます。

MyKomonの幾つかの機能を参考までにご紹介したところ、使えそうだとの反応をいただけました。

3.しかし、本質的な課題解決はできていない?

客観的なデータはMyKomonで手に入り、数値的には公平感のある担当振りはできるかもしれませんが、顧問先との相性など、数値化しにくい材料もあり、誰もが職員の納得する担当振りができるかどうかというと別問題であり、これでは担当割りの問題は解決できているとは言えないことに気づきました。

また、いわゆる「担当制」(1対1の担当制)を今後も継続することを前提とした場合、完全な解決は難しことにも同時に気づきました。

4.1対1の担当制をやめて全員担当制にすれば担当振りが不要になる

東京の某会計事務所では、数年前から全員担当制で運営しています。

顧問先からデータもしくは紙で資料が届くと、「捌き役」のスタッフが資料の内容やスタッフの抱えている仕事の進捗状況をみて、仕訳処理を指示します。1件の月次処理を複数のスタッフに分散させて仕訳処理を指示するのが通常のようです。

そうすることで、スタッフの経験やレベルに合わせた指示が出せて、ボリュームのある月次処理も早く終えられて試算表の早期提出に役立つのだそうです。各顧問先の仕訳上の特徴とか注意点は、クラウド上でストック情報として共有されているのと同時に、仕訳処理をしながら仲間と共有したいフロー情報も常にチャット上で共有しています。
顧問先ごとの仕訳レベルやスタッフごとの仕訳数実績もクラウド上で共有されています。

また、この事務所では訪問や面談は基本ありません。顧問先は事務所にメールで質問や相談をしてきます。その質問メールを見て、答えられるスタッフが「私がこれ回答します」と宣言して回答していきます。仲間や上司に回答のチェックを依頼できる体制もあるようです。誰も回答宣言しない税務相談や高度の経営相談は所長先生が対応します。答えるのに必要な顧客情報はクラウド内で管理されていて、職員は誰でもアクセスできるようになっています。質問の難易度と回答数や回答チェック数は実績として管理され、スタッフの評価や教育の材料になっています。

この事務所の所長先生にお聞きしたところ、1対1の担当制に比べて「顧客から信頼されている実感」を感じる機会が少ないのでスタッフが遣り甲斐を得られにくいかもしれないという懸念もあるとのことでしたが、全員担当制とすることで担当振りで頭を悩ませることは消えます。検討をしてみるのも1つかもしれません。

★参考
工数分析:/function/kosu/
顧客管理:/function/kokyaku/

この記事の監修

若山茂樹

若山茂樹

株式会社名南経営ソリューションズ取締役
カスタマーサクセスグループ・ゼネラルマネージャー

1992年に新卒で名南経営に入社し、会計事務所の担当者を経験しました。
20代前半の新人でも、お客様はお金の事や制度手続きの事などで意見を求めてきますので、会計事務所の役割の重さを感じると伴に、学びと経験の大切さを痛感しました。
会計事務所の活躍が日本の中小企業に成長と発展をもたらします。
会計事務所の活躍を支援したい。それが我々のミッションです。