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コラム

COLUMN

AI進展を見越して戦略・戦術づくりに動く税理士

2023年5月24日

1.AI(人工知能)で税理士の業務は無くなるのか?

時代の先を読んで活動されている税理士先生がいます。
スタッフ30人ほどの事務所の所長。いつも刺激を頂戴しています。

税理士としての一般的なルーチン業務や手続き業務(試算表の作成チェックや税務申告などで顧問料や決算料をもらう業務)は、他の税理士やスタッフに任せて、自身は経営相談のみを行っています。

一般的な顧問料や決算料は、報酬相場がネット上でオープンになっており、高い提示がしにくいだけでなく、AIによって、いずれそれらの業務は無くなっていくとお考え。

税務相談の業務は、その相談背景によって回答が変わるので、AIでも回答するのは無理ではないかとの考えをぶつけてみたところ、「もう少し勉強したほうがいい。」と指摘され、ChatGPTなどの対話型AIが、相談背景に合わせた回答(場合分けした回答)を十分に出してくる時代が3年程度で来るだろうと予想されました。ただ、AIが出してきた回答群の中から、相談者にとって必要・最適なものだけに絞り込むという業務はしばらく残るだろうとも付け加えられました。

2.AIが進化しても残り続ける業務とは?

AIが進展しても残り続ける業務は、各士業の専門分野と専門分野の隙間に存在する分野、あるいは専門家が居ない分野における経営者向けの相談業務ではないかとお考えです。すでに数年前から始めておられ、ブルーオーシャンなので、報酬は言い値で通るらしい。月15万円の報酬を安いと言って喜んで払ってくれる顧客層が多いそうです。

手法は案外オーソドックス。経営者が課題に感じていることをヒアリングして整理し、経営課題を幾つかのカテゴリに分類し、各カテゴリ単位で解決すべきことをリスト化して優先順位付けし、1つ1つについてMTなどを通じて解決策を具体的にアクションレベルに導く。

ルーチン手続き業務を望む顧問先とは別の客層となり、金融機関からの紹介のほか、顧問先からの紹介で増え始めている様子。相談内容は多岐にわたり、幅広い知見が必要なため、ハードルは決して低くないと思われます。

3.多岐にわたる相談内容に対応するために

どんな相談対応をしているのか、気になってお聞きしてみました。
DX(デジタルトランスフォーメーション)をどう進めたらよいか?なども相談されるそうです。

経営のバックヤードにあたる経理などの業務にITを活用して変革するのは容易いが、売上に直結するフロント業務のDX化は簡単ではないとのこと。フロント業務のDX化と言われて全くピンと来なかったが「3Dプリンター」の活用はフロント業務のDX化の一例だとお聞きしました。確かに、3Dプリンターで住宅でも建てられる事例を記事で見た記憶があります。300~500万円と安く、たった1日で建てられる。確かにフロント業務のDX化のいい事例です。3Dプリンターのような新しい技術に関する情報についても、時々東京に出かけて行って、仕入れをしているそうです。専門家とか学者と言われる人でなく、もう少し現場よりの開発者に会って話を聞くのが役に立つのだそうです。

一方で、古典や歴史に名を残した先人の研究も行っています。世の中が素早く動いていく時代において、思い切って変化するためにも、普遍的な大事なものを押さえておく必要があるということかと理解しています。
最近は、二宮尊徳が残した文献を読み込み、そこから得た気付きなどをポッドキャスト(Podcast)にて発信する活動も行っているようです。

4.YouTubeよりもPodcastでの情報発信。未来を見据え・・・。

YouTubeでの沢山の情報発信をされている先生ですが、最近はPodcastでの発信がメインになっている様子です。

動画よりも音声のほうが、マルチタスクをやる現代人に発信するツールとしては向いているとのお考え。知りませんでしたが、Podcastの番組を持つのは誰でも簡単にできるようです。YouTubeに変わるマーケティング手法としてもPodcastは検討余地があるかもしれません。

AI進展後に勝ち残る税理士像の1例を見た気がしましたが、現状で上記のような相談業務に対応できるのは、事務所でも先生1人のようです。いずれは「手続き業務をやらない事務所」にして30人全員が相談業務に対応できるように導きたいとのお考えです。YouTubeやPodcastで自身の足取りを残しているのもそのためかもしれません。未来を見据えて、日々汗をかいている姿に恐れ入った次第です。

【参考】
3Dプリンター住宅
https://project.nikkeibp.co.jp/onestep/coolproduct/00028/

この記事の監修

若山茂樹

若山茂樹

株式会社名南経営ソリューションズ取締役
カスタマーサクセスグループ・ゼネラルマネージャー

1992年に新卒で名南経営に入社し、会計事務所の担当者を経験しました。
20代前半の新人でも、お客様はお金の事や制度手続きの事などで意見を求めてきますので、会計事務所の役割の重さを感じると伴に、学びと経験の大切さを痛感しました。
会計事務所の活躍が日本の中小企業に成長と発展をもたらします。
会計事務所の活躍を支援したい。それが我々のミッションです。