会計事務所向け生産性向上ツール

コラム

COLUMN

顧問先向け情報発信の業務改善プロジェクト始動

2023年2月22日

1.業務改善を進める2つの理由(ニーズ)とは?

九州の某会計事務所において、顧問先向けの情報発信のあり方を見直す取り組みを数カ月前から始めました。

この事務所では、顧問先向けの情報誌(紙の小冊子)を業者から顧問先の数だけ毎月買い取り、請求書とともに宛名印刷された封筒に同封して郵送するという作業を総務のスタッフが行っています。顧問先数が順調に増えていることもあり、この作業に毎月2~3日を投じており、IT活用などで業務改善したいというニーズが顕在化したのが取組みの起点です。

また、その小冊子には税務に関する改正点の解説や会計経理における注意事項などが書かれており、情報提供ツールとして有効だと判断してはいるのですが、発送することで自己満足になっていないか、読まずに捨てている顧問先もいるのではないか?という懸念もあり、まずは担当者自身がしっかり発信情報の把握をしたうえで、各顧問先ごとに必要十分な情報をセレクトしてしっかり届けられるようにすることで担当者のレベルアップと顧問先満足度向上を図っていきたいというニーズも続けて顕在化しました。

2.毎月の協議で固まった改善策とは?

所長先生と業務改善委員会のリーダーと研修委員会のリーダーおよび、弊社のフォロー担当者と私が毎月集まってミーティングを行い、協議を重ね、改善策が概ね固まりました。それは以下のとおりです。

  1. 紙の情報誌(小冊子)をやめる
    顧問先数プラスαで毎月発注する手間と余りが出る無駄を消す。
    紙の情報誌を画像化してデータで送ることは著作権侵害になるのでできなかった。
  2. 情報誌としてMyKomonニュースレターを利用
    部数をカウントして発注する手間は無く、無駄も発生しない。
    PDFデータで入手でき、特定された対象に送るのであれば、何件でも無料で送信可。
    記事も税務、労務、経営、ITのほか、インボイスやコロナ対策、税制改正などの特集記事も豊富。1つの記事単位でPDF化されたリーフレットタイプもあるので、顧問先ごとに記事をセレクトしやすい。
  3. 毎月初に発信記事の読み合わせを実施
    研修委員会が主導して、その月に発信予定の各種記事について、記事内容の要点と、記事を届けたい対象(業種や規模など)を共有する。
  4. 発信ツールとしてMyKomonを利用
    全顧問先に一度の操作で同じ記事を提供することもできるし、記事単位で提供する顧問先を選んで提供することもできる。
    消費税免税先だけに特集記事を一括提供するとか、年調請負先だけに扶養控除等申告書と書き方説明記事を一括配信するようなことも可能。
    担当者は個別に補足解説を付けることも可能。
    顧問先側の未読・既読も管理できる。
  5. スマホアプリを顧問先に提供
    普段、PCを使わない仕事柄の顧問先を中心に、MyKomonのスマホアプリを提供。プッシュ通知も送られるので、見てもらいやすい。
  6. 紙の請求書もやめてWEB請求書に変える
    印刷して、折って、封入する手間を消す。

3.失敗しないための進め方とは?

進め方としては、まず、事務所として、請求書と情報誌を紙からWEBに変える方針と理解を求める案内文書を既存の請求書に同封して郵送します。顧問先にとってのメリットや切り替え時期、切り替え後の操作手順なども記載し、2回ほど(2カ月前から)郵送します。

紙でないと困る先からはその旨の返信をもらえるようにし、その対象だけは、引き続き、紙で対応することとし、次の機会を伺うこととします。

業務改善は、慌てず、全件一度にやろうとせず、一定期間を使って告知・認知に努め、協力いただける先から段階を追って進めるのが肝要です。2-6-2の法則が教えてくれている通り、すぐ協力いただける2割の顧問先で成功体験を積み、少し説明とサポートをすれば協力してくれる6割の顧問先に挑む。残りの2割は時が来るまで待てばいいのです。8割が改善できた成果は、とても大きな成果になります。

確定申告明けから、いよいよ顧問先向けのアナウンスが始動します。

■参考
ニュースレター:/function/nl/
事務所からのお知らせ:/function/oshirase/

この記事の監修

若山茂樹

若山茂樹

株式会社名南経営ソリューションズ取締役
カスタマーサクセスグループ・ゼネラルマネージャー

1992年に新卒で名南経営に入社し、会計事務所の担当者を経験しました。
20代前半の新人でも、お客様はお金の事や制度手続きの事などで意見を求めてきますので、会計事務所の役割の重さを感じると伴に、学びと経験の大切さを痛感しました。
会計事務所の活躍が日本の中小企業に成長と発展をもたらします。
会計事務所の活躍を支援したい。それが我々のミッションです。